Description
伯爵家のメイド、セリの話。
クレイグ伯爵家には先妻が産んだ長女ヴィオレッタと、後妻が連れてきた義妹が存在する。
長女は虐げられ、粗末な部屋を用意され、父である当主の仕事を代行する毎日。
メイド達の多くが当主達の意向に従い、やはりヴィオレッタを下に見、どんな嫌がらせをしたかを得意げに語る中で、セリだけは淡々と業務をこなす。
ヴィオレッタの味方はしない。
しかし敵にもならない。
転機となるのは、ヴィオレッタが成人となる誕生日。
貴族院の馬車がやってきて、宣言する。
「新たな当主の意向を伝える。家政の刷新に伴い、今の使用人達には一時『待機』を命じる」